Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
むしろ血も見ずに陥すのが、まことの大将、まことの軍とぞんじますが」
「利巧そうな常識のみをならべるな。八百年来の大藪だ。根こそぎ焼き払わねば、新しい若草の芽は萌え出でぬ。……この山一つとそち達はいうが、信長は、叡山ひとつの処置に逆上しておるのではない。この全山を焼き払うことは、諸山の仏閣を救うことであり、この一山の僧俗をみなごろしとするも、諸国の不心得者が眼をさませば、未然に、それだけの助けはするわけだ。――眼前の阿鼻叫喚など、信長の眼にも耳にも、何ものでもない。この信長ならで、誰がこれをなしきろう。天は今日信長をこの土に生ませて、やれとお命じになっておるのだ」
信長の英才や経略、すべて彼の偉大さは、誰よりも知っているつもりの三名にも、いま彼自身、
(――この信長ならで、誰が、これをやりきろうぞ)
と、いったのには、これはもうただ事でない、天魔にでも魅入られたかと、悲しまずにいられなかった。
信盛につづいて、武井夕菴も、主君の床几の間近へ身をかがめて、
「いや、なんと仰せありましょうとも、われわれどもは、臣として、御諫止いたすしかございません。――勿体なくも、桓武天皇このかた、伝教以来の霊跡を、灰燼にしてしまえの、また……」