Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
知りながら敵の策に乗って出るという、序戦からして不利な位置を取らざるを得なかったのである。果たして、全軍におよぼす負け口はここから生じた。
石の雨が、ばたとやむ。
同時に、石礫を抛っていた七、八百の水俣の者が、隊を左右に割って、一線からさッと退いた。
「しまった」
と、敵の二陣が、酒井忠次の眼にみえた時は、もう遅かった。
水俣の者と、次の陣の騎兵のあいだに、もう一列、鉄砲隊が潜伏していたのである。みな腹這いになって身をしずめ、銃身を左手と顔の横に当てがって――。
ド、ド、ドッと、つるべ撃ちの弾けむりが草から燃え立った。弾道の低いため突貫して来た酒井隊の多くは足を撃たれた。刎ねあがった馬は、腹に弾をうけたものであろう。倒れぬうちに鞍を離れて、歩卒と共に、突進して来る将もある。戦友の屍をこえて、槍をふりしごいて来る勇兵もある。
「――退けいッ」
武田方の鉄砲組へかけられた命令であった。わき眼もふらず迫って来た槍組に接触されたら鉄砲組は一たまりもない。かれらは、うしろにいる味方の騎兵隊を繰り出すために、できるだけな迅さで散った。
どっと、馬の鼻づら揃えて、一番に甲軍随一の山県隊、二番に小幡隊と、重厚な備えで奔出してきた。