Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

卍

卍

雪となって来た。――陽が沈みきるのを待っていたように。

雪かぜは霏々と、敗軍の旗を兵馬を吹きまくして、一層、拠るところを失わせた。

「殿は。殿はいずこに」

「御本陣はどこへ」

「おれの隊は?」

路頭に迷った逃げ足のかたまりへ向って、甲軍の銃隊は、けむる雪の中から、鉄砲を撃ちあびせた。

「おひき揚げだ」

「退軍の貝が鳴っている」

「さては、もはや御本陣をひき払われたか」

敗軍の鯨波は、まっ黒に北へなだれ、西へまよい、その間にもなお多くの死傷者を出しながら、やがて南のほうへ一路潰走しはじめた。

さきに、鳥居忠広と一緒に、危地を脱して行った家康は、うしろに続く、人々を顧みて、

「旗を立てい」

と、急に駒をとめ、

「――旗をたてて、味方の者どもを、ひとつに呼びあつめろ」

と、命じた。

夜の闇はせまり、雪はふり増してくるばかりである。家康をまん中にして、旗本たちは貝をならし、馬じるしを振りまわしては叫んでいた。

「おうういッ」

「オオーイ」

追々と、敗軍の士卒は、そこへ集まってきた。どれもこれも血にそんでない姿はない。

だが忽ち。

敵の中軍がそこにあると知った甲州の馬場美濃、小幡上総の二隊が、一面から弓、一面から鉄砲を撃ち放ちながら詰めてきた。