Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

何事かと、九助が駈けよって行くと、家康は顔を寄せんばかり鞍のうえから身をかがめて、

「……、……。よいか、九助、あらん限りの大音にて、存分に大言を吐け」

と、何か策をさずけた。

心得て候う――とばかり高木九助は勇躍して城のほうへ走り出した。そして雪を蹴たてつつ、

「聞けや、味方の衆。――今日の乱軍にて、武田晴信入道信玄の首を、高木九助が討ちとったぞ。――眼にも見よ、耳にも聞け、俺だぞッ、信玄の首、打ちとったのはかくいう九助だぞッ」

城の唐橋を駈渡りながら、狭間狭間に案じている留守の将士に、ひとり残らず聞えわたるような大声をあげて行った。

「なに、信玄を討ったと?」

「信玄の首をだと? ほんとか」

「あの声は高木九助であろう。坊主首を槍さきにさして、気狂いみたいに触れまわっている」

城兵はみなどよめき立った。そのどよめきは絶望から希望へ一変した。

非常などん底には、非常識も通用する。善くも悪くも通用する。

しかもまた、いちどは生死さえ案じられていた家康が、その中へ無事、にこやかな面をもって生還して来たのであるから、一時は、まったく敵将信玄の死をみな信じた。