Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
留守とみせて実は居たり、居るとみせかけて居なかったり、兵家の生活は虚実の影をつかいわけている。もちろん藤吉郎のこんどの小旅行も、すがたをかえた微行で、この岐阜城へも、そういうわけから突然やって来たものにちがいあるまい。
「やあ、藤吉郎か」
信長は、彼を別間に待たせておいて、やがて非常なきげんで上座にすわった。
藤吉郎は、ふつうの旅行者とことならない極めて素朴な身なりで平伏していたが、面をあげると、
「お愕きでしょう」
と、笑いながらいった。
解せぬ顔して、
「――何がか?」
「唐突の参上で」
「なにをばかな。そちが半月前より、横山におらぬことぐらいは知れておる」
「でもてまえが、今日これへ推参いたそうとは、御意外でございましたろう」
「ははは。そちは信長を盲と思うているな。京では京の浮かれ女とあそび呆け、近江路へ来ては、長浜のさる豪家まで、そっと於ゆうを呼んでおいて、密かに会って来たであろう」
「ははあ……」
「なにが、ははあじゃ。……どうじゃそちこそ愕いたであろう」
「これは愕き入りました。さすがに御主君、なにもかもお分りですか」
「この山は高いから十州も見とおしである。