Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

長政の蒼白な血相と眸へじっと、正視を向けながら、やがて長嘆して云った。

「ああ。……あなたにもやはり肉親の情愛はあったのか。……可憐なものにたいする不愍をご存じであったのか。そうとは、藤吉郎、すこしも知らなかったのでござる」

「渡さぬかッ、おのれ、その幼い者を、刺すつもりか」

「毛頭、さような意志はない。……だが、親御たるあなた様にも、なんらの情愛はおぼえぬと仰せあれば――」

「たわけたことを。親として、子を愛さぬものがあろうか」

「そうです、禽獣でも」

と、藤吉郎は、あいてのことばを裏書して、

「――さすれば、それがしの御主君信長が、お市さまを救い出したいばかりに、恋々、この小城ひとつを陥しかねているのも、愚かしい沙汰とは嗤えますまい。……また、お市さまの良人であらせられるあなた様はどうか。信長様の弱点を覚って、強いて、母子数人の可憐しいものを、この城と運命を共にさせようとしておいでになるではないか。それはちょうど、今こうして、それがしが、万寿どのを下に敷いて、御喉に匕首をつきつけながら、あなたへ談じつけているのと同じことだ。……藤吉郎の仕方を卑怯と仰せあるまえに、御自身の戦略を、卑劣でないか、残忍でないか、篤、お考えくださいませ」