Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
物驚きをしない信長も、何かそれにはよほど驚いたらしい。例外な献上事に相違ない証拠には、寝所に入る前、ふたりへ念を押して、
「筑前が心をこめての献上品、篤と見てやらねば、彼の誠意にたいして悪しかろう。明朝、彼がそれを山へ運びまいる頃には、相違なく信長へ知らせい。――信長、天守の上から一見いたすであろう」
と、いって眠りについたのをみてもわかる。
饗応奉行の堀、菅屋のふたりは、さて何事かと顔見あわせた。ただ事の献上物ではないらしい。それを天守閣から望見しようという信長のことばもあるので、
「塵一つもあっては」
と、にわかに、夜半ではあったが、足軽や小者をあつめて、山上門から山上門の道筋はいうまでもなく、玄関前の広庭、さては麓の濠の唐橋あたりまで、すべて視界に入るところを、夜明けまでに隈なく掃かせ、さらに、琵琶湖の砂をいちめんに敷かせて、果てなきまで、きれいに箒目のあとを立てた。
「物々しいお迎え。そも、明日は誰方様の御登城か」
と、まだ仔細を知らない人々は目を見はった。よほど貴顕な堂上人でも見えられるのであろうと、誰もが想像していたふうであった。
ゆうべもいたく晩かったのに、今朝もまた信長は夙くから起きていたふうであった。