Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
主君が奉公人となり、奉公人がかりに主座にすわってみる。これは小閑のあそびといえ、なかなかおたがいによい反省にもなった。
「御亭主には、いつのまにやら、お点前も行作も、お見事になられましたな。きょうは、篤と拝見して余りのお変りように、思わず見恍れました」
これはお正客の秀吉が、そこで話の口きりに述べたお世辞であった。すると次客の丹羽五郎左衛門長秀が、
「それはそのはずです。失礼ながら、ここの御亭主には、何事にむかっても、不可能ということはないのです。自分には出来ぬということは仰せられた例しがない。――ですから茶道の御勉強にかかっても、桶狭間や長篠の戦場へ奮迅したあの心ぐみでやるのだと、いつかもおはなしがあったそうで、京の大黒庵も、驚き入っておりました」
亭主の信長は笑いながら黙ってそれを聞いている。客と客との興じ入るのにまかせた。
秀吉がたずねた。
「大黒庵とは、誰方です」
「京都の六角堂の隣に住む武野紹鴎のことです」
「あ。紹鴎ですか」
「ここの御亭主のお手ほどきは、初めに、その紹鴎がお導き申しあげたが、近ごろは、堺の千宗易が伺って、お磨きをかけておる。されば、御上達はあたりまえともいえましょう」