Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
彼の肩へ手をかけて懇ろに励ますのだった。遠いむかしの友達時代を思い出させるような温情があふれている。が、その頃を考え出すのは、於福にとって、辛かった。また、余りにも今は身分の懸隔がありすぎる。彼は、秀吉の手の下に、いよいよその肩を低く伏せて、
「……それだけを、ちょっとお耳に入れて、欣んでいただきとう存じまして、まことに、御無礼とはぞんじましたが、お戻りを窺って」
「いや、歓んでおるとも、わが事のように、秀吉はうれしく聞いた。中国の探題羽柴筑前守と一介の茶弟子於福とは、おのずから奉じゆく道はちがうが、世に楽土を創て、人に益し、あわせて自分一箇も人間らしゅう達成してゆこうとする志に変りはない。――今はなお、合戦また合戦と、遑なき世の中だが、かならず次には、おまえたちの奉公がいよいよ大事な世となって来よう。それまでに確かりと励んでおけよ、自分を作っておけよ」
「ありがとうございまする」
「また会おう」
「……御機嫌よう」
於福は、秀吉の膝を払った。そして自分はなお松落葉の上にひざまずいたまま、秀吉の影が、櫓門の陰にかくれ去るまで見送っていた。
秀吉は清々しい心を抱いて宿所へ帰った。