Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
何かと思えば、冬季の陣中、食物に困ったとき、兜の鉢金を鍋として、猪肉や山鳥を捕っては食ったという話などに、ひどく傾聴しているのだった。
それでもなお、一方の客たちが、人の陰口に興じて、光秀の是々非々などくり返していると、
「甘いなあ、諸公も。そういう類の風説は、いわゆる埋言の計と申して、他国から敵対国へ来ている者が、そっと火だねを埋けて行った場合が相応に多いもの。惟任どののうわさなども、出どころは、ひょっとしたら先頃帰国したという甲府筋の者ではないかな。――それが人に火のついたときはいくらでも沙汰していられるが、いつ何時、自分が火だねにされているやも知れぬ。御用心、御用心」
これで話はおしまいになってしまう。秀吉が呵々と笑うと、それについて、是といった者も、非といっていた者も、同じ哄笑の下に、それを忘れ去ってしまった。
よい機として、秀吉は、
「やあ、もう日暮に迫るか。実は今夜は、御礼のため、もう一度登城いたして、明朝には、また中国へさして帰陣の予定。失礼だが、これで……」
と、客の帰りをうながして、自分もさっさと、湯殿へはいってしまった。
時間がないのは口実ではない。