Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ御寛仁にあまえているも本意ではございますまい。――こう察して、半兵衛の取り計らったことでございます。ねがわくば、この少年の初陣のために、ひと言、勇ましく働けと、お励ましを賜わるなれば、どんなにありがたいことかわかりません」

「ううむ。……してそちは」

「病躯、何ほどの力も、お味方の足しとなるまいかに存ぜられますが、ちょうどよい折、於松を伴れて、ともども、帰陣の考えにございまする」

「よいのか。体のほうは」

「武門に生れて、しかもこのような秋、畳のうえで死ぬるのは、何とも口惜しゅうございます。薬餌に親しんでいても死ぬときには死なねばなりません」

「そうとは気づかなんだ。それまでの覚悟とあれば……。そうだ、於松にも、初陣を祝ってやろう」

信長は、少年の眼をさしまねいて、手ずから備前兼定の脇差を与えた。また家臣に命じて、勝栗土器をとりよせ、酌み交わして、

「めでたい。曠々とゆけ」

と、餞別けした。

少年十三、決して、早くはない初陣である。於松は、きょうここへ登城する前夜、半兵衛からよく嗜みをうけていたので、敢えて驚きもしなければ、また特にはしゃぎもしなかった。