Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
乗馬は、郎党に曳かせ、至極浮かないすがたで、歩いて来る後から、従者たちも、同様に、どこか冴えない空気をながして、黙々と、供して来るのだった。
「これまで、お迎えに出ておりました。おつかれにございましょう」
利三が、前に屈むと、光秀は、なにか驚いたように、面を向けて、
「利三か。……いや心ないことをした。儂が帰りの遅いのを案じていてくれたの。ゆるせ、ゆるせ。ちときょうは御酒をいただき過したゆえ、わざと酔を醒まそうものと、湖畔を徒歩うて戻って来たのじゃ。顔いろが青いとて案じるなよ。気分もだいぶ快うなったし……」
何か御不快なことにお遭いだったとみえる。多年側近く仕えている主人である。内蔵助利三が見のがすはずはない。
けれど、敢えて、深くは問わなかった。ただ、いかにその気色を慰めようかと、この老職は、その世に馴れ人に練られた心をくだいて、宿舎に入ると、主君光秀の身のまわりの世話までやいていた。
「いかがですか。あちらのお座所で、まず茶なと一ぷくさしあげましょうか、それとも、お召かえのついでに、すぐお風呂をお浴みあそばしますか」
戦場に立てば、驍名敵を畏怖せしめるに足る猛将利三が、小姓の手もからず、光秀の小袖から袴をはく手助けまでしているのだった。