Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
「火の手や揚がる?」
と、谷大膳を始め、寄手は固唾をのんで合図を待っていた。――ところが、火の手はおろか、内からの裏切はおろか、却って、城門各所、ひしひしと守りかためて、遂に夜の明けるまで、寄手は一歩も近づき得ずに終ってしまった。
しかも。――中村忠滋の手引きで先に城中へ入った一千余の将士はとうとう一名も生きて帰って来なかったのである。中に入るやいな、完封殲滅、文字どおり血漿の巨墳をそこに作ってしまったのであった。
「憎さも憎し!」
谷大膳は地だんだ踏んだ。秀吉の前へ出て、慚愧、詫びることばも知らず、
「大切なお味方を一千も亡くした罪、今さら申すことばもございません。ねがわくば、大膳がこの首を刎ねて、以後の士気をお奮い遊ばしてください」
と、哭いて云った。
「ばかを申せ」
秀吉は叱った。――この上にもまた、そちのような将を一人死なしてどうする、というのである。とはいえ、苦りきるほかはなく、
「人質の娘はどうした?」
と、たずねた。
大膳は答えていう。
「きょう三木川に引き出し、父の中村忠滋や城兵の遠見しているまえで、磔刑にしてくるる所存です」
「磔刑に」
「……なお飽き足りはいたしませぬが」