Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「それなら欣しゅうございますが」

「顧みれば、もう十年の余になるな、菩提山の城を去って、故郷栗原山の山中にかくれた時から」

「月日のはやさ。ふり顧ってみると、何もかも夢のようでございます」

「すでにその頃から、山中人のわしの側にあって、朝夕の炊ぎ、身のまわりから薬の世話まで、みなそなたがしてくれていた。思えば長いあいだの苦労を」

「いいえ、それもわずかの間でした。お兄上さまは、あの頃からよく、わしの病は癒るまいと仰っしゃっていましたが、それがたちまち御快方に向うと、秀吉さまの帷幕に参じて、姉川の戦、長篠の戦い、さては越前へ、大坂へ、また伊勢路へと、御合戦のやむ間もない年々を、あんなお元気にお過し遊ばしたではございませんか」

「そうだったなあ。……この躯でよくも耐えたと思うこともあった」

「――ですから、こんども御養生ひとつ、きっと癒ります。もとのお体になるにきまっております」

「死にたくはない」

「そんなことがあるものではございません」

「――生きていたい。生きてこの激しい世のなかの落着くさまを見とどけたい。また、かりそめならぬ主従の縁にむすばれた秀吉様の将来をも……ああ、からださえ丈夫ならば微力のかぎりお扶けして参りたい」