Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

秀吉は、そのとき、むくと面をもたげた。――と、半兵衛の眼の窪からも、らんとして、射るような光が彼の面へ向って来た。――いま死なんとする臨終のものの眼と、なおどこまで生きるかしれない秀吉の眼とが、せつなに、葛藤した。無言のうちに、射合ったのである。

「信長公。――右大臣家をさしおいて何をもうすかと、あなたは心中に半兵衛のことばを御迷惑がっておられましょう。……そうです、そのお心もちはわかります。……けれど、信長公には信長公でなくては能わぬ使命をもって、天意は充分に、公に振舞わせておられます。現在の状態を打ち破るあの御威勢、今日までの百難をふみこえられて来たあの御信念、それは徳川どのでも、あなた様でも、よくなしうることではありません。信長公を措いて誰か時代の混乱をここまで統率して来ることができましょう。……さはいえ、それをもって宇内のすべてが革まるとはいえないでしょう。中国を征し、九州を略し、四国を治め、陸奥を伐つとも、それのみで、上朝廷を安んじ奉り、四民を和楽せしめ、しかも次の文化の建設、世々の隆昌の礎がすえられるとはいえません。……いえませぬ」