Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
秀吉は、促さるるまま、すぐ拡いて、読み下していたが、そのあいだ幾度となく、眼をあかくし、瞼を指で拭い、ついにはしばらく面をそらして、一気に読み終ることができなかった。
歿する二日前に、心友の官兵衛孝高へ宛てて認めたものではあるけれど、その書中のことばは、一行半句たりと、自分の望みや交友のことに触れているのではない。
冒頭からしまいまで、すべてみなこれ主君秀吉の身にかかわることか、将来の経営について、憂いを述べ、善処を託し、また日頃から脳裡にある経策をつまびらかに書き遺しているのだった。
その一節には、
――たとへ身は化して土中の白骨となるとも、殿にして微衷をわすれ給はず、おこころのうちに、ふとだにも御想起くださるなれば、重治の魂魄は、いつなんどきたりとも、殿のうつし身のうちに息吹き奉り、草葉の蔭よりの御奉公も決してかなはぬ事とは存じ申さず……
と、書いているところなども見える。――生きている間の忠勤もなお足らずとし、若くして逝くこの世に恨みも思わず――白骨となってもなお奉公の道あることを信念して死を待ったかと、重治の心根を思いやると、秀吉は哭かずにいられなかった。