Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
殿のおゆるしさえあれば、いつなりと、それがしが使いして、城中の後藤将監と会って参りますが」
「いや、待て……」
秀吉は、首を振った。
「――この春だったか、浅野弥兵衛の縁組という手引きで、城中の一将に、その策を用いたことがある。ところが、いくら待っても、返辞がない。後に探ってみると、その者が主人の別所長治へ降伏をすすめたのを、将士が怒って、即座に斬りころされたということだった。――半兵衛の遺策も、それと似たりよったり、まあ同じ策ではないか。下手をしたら、寄手の弱味を知られるばかりで、得るところは何もない」
「いや半兵衛どのが、行うに機を測るが大事といっているのは、そのことでしょう。今なればと存じますが」
「しお時かな?」
「確く信じまする」
「…………」
その時、陣幕の外で人声がした。聞き馴れている将士の声のほかに、どうも女らしい声もふと聞えた。
はからずも、この陣中へ秀吉をたずねて来た一女性は、亡き半兵衛の妹のおゆうであった。
兄の危篤と、知らせをうけるやいな、彼女はすぐわずかな従者をつれて危険も思わず京都を立ち、
――せめて、ひと目でも、この世にあるお顔を。