Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
「中国でお別れする折、道中用心のためにと、私へ手ずからお槍を一本下された上。――さて、筑前どのがいわれるには、その方は仕合せな仁じゃ、いずれ光秀と会うだろうが、このところ、後の天下は、光秀が取るか、自分が取るかだ。その両将のいずれにも心証のよいその方の家はまことに安全を保証されているものといわねばならん。――ついては、自分より先に光秀に面会いたした折は、筑前がかく申しおったといえ。……そう仰せられまして」
と、施薬院は、ここでちょっと、額の汗を、懐紙で軽くたたいた。そして秀吉の口吻そのままいった。
「――日向守とは毎度会いはいたして来たが、戦場で会うは初めて。大将と大将とが、直の太刀打ちいたすも、数日のうちにある。主君の敵なれば、部下の槍も待たず、かならず直の太刀打ちいたして、勝負を決すであろう。日向にも左様に心得おられ候え――と、かように屹と仰せられました」
「…………」
光秀はあきらかに感情をうごかしている。しかしじっと押し黙って聞いていた。がやがて、その硬直を解くと、しずかに一笑を見せて、
「筑前が云いそうなことよの」
と、立って、うしろに立て懸けてある槍を取り、施薬院に与えて、こう云い足した。