Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
「きたなし!」
と罵り、
「返せ」
と呼ばわり、
「――逃げんとしても、逃げ得る道もあるまいに、左馬介光春は、死に場所を知らないのか」
と、乗れる駿足にまかせて、その追撃は物凄いばかり急だった。
堪りかねて、光春も、
「放せッ」
と、駒を止めて、二人の手を、馬の口輪から振り飛ばそうとしたが、二人の小姓はなお、
「いけませんッ。殿には、お落ち下さいまし」
「あとは、われら二人で」
と、必死に拒んで、しかも一人は槍の柄で、光春の馬の三頭のあたりを、力まかせに撲りつけた。
馬は愕いて、光春を乗せたまま、盲目的に彼方へ飛んで行った。ふたりの小姓は、もとの道へ取って返して、健気にも、堀秀政と槍を交え、枕をならべて戦死した。
――止まるを知らない奔馬の手綱をやっと締めて――光春が、田の畦の、湖に注いでゆく小川の縁から振り向いたときは、もうその二人も見えず、追って来る秀政のすがたも見えなかった。
そのかわりに、近くに望まれる街道にも、うしろの畑道の土橋や森の附近にも、百騎、二百騎ぐらいな敵の集団が、あだかも空から網の中へ翔けこんで来た鳥を眺めているように、そう物々しく動きもせず、此方を見ている様子であった。