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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

石田佐吉がさきに走って、七尾村の三珠院を叩いたのはまだ真ッ暗な時分であった。寺僧の驚きは一通りではあるまい――と思いのほか、何ぞはからん、山門をひらくと、寺内は煌々と燭をてらし水を打ち、清掃いたらざる所もない。

「たれだ、わしの立ち寄ることを、先触れしたものは」

「佐吉にございまする」

「そちか」

「はい。この辺で殿の御休息あるはまちがいなしと思い、足早な若党ひとり先へ走らせて、五十人前の弁当と、お湯漬の調えなど命じておきました」

この寺のお稚児だった佐吉が、秀吉に貰われて長浜城の小姓部屋に入ったのは、彼が十三のときだった。

それから八年目の今日である。石田佐吉も二十一歳の若武者とはなった。しかも事理に明るく敏才衆をこえている。秀吉も常に、

(市松も虎之助も助作も、みな武勇すぐれておるが、その中の佐吉はすこし異っておる)

と、いつもいっているほどである。

この佐吉を、親代りともいえるほど、幼時から育てた三珠院の住職は、いまなお健在だったので、今日の佐吉を見て、よろこぶこと限りもなかった。

同時に、久々な城主の来訪でもあったので、寺中をあげて款待につとめたことはいうまでもない。