Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
今権六がいわれるまま強くこすっている所を見ても、すぐ毛穴から脂肪のような赤い血がふき出る程であった。
「大殿。ただ今、神官や村長どもが、御門出の祝いにと、この山の渓流で漁れた串魚やら餅など捧げ持って見えましたが」
幕の裾から武者のひとりが告げると、勝家はあわてて、もうよいと権六の手を退け、具足を纏い直していたが、傍らの佐久間玄蕃允盛政をかえりみて、
「お汝、村人どもの挨拶をうけてこい」
と、いいつけた。
玄蕃が立ちかけると、玄蕃と並んでいた毛受勝助家照が、その足もとを遮るように、
「いや、大殿」
と手をつかえて、勝家の大きな体を仰いだ。そして、
「村人どもの素朴な志、寸時なりと、大殿御自身、会釈をお与え遊ばしては戴けますまいか」
と、わが事のように願った。
「玄蕃、立たんでもよい」
勝家は、毛受勝助の乞いを容れて、自身、そこで神官村人を引見して、祝いをうけた。
またすぐその後で、幕僚たちと共に、献物の串魚なども披いて兵糧をつかい始めたが、毛受勝助には、口もきかず、眼ざしも向けなかった。
勝助の諫言は、もっともなことだった。勝家も、それが頷けないほどの愚将ではない。