Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
薫香散
「主君信長公の不慮の御他界は、おたがい何とも痛哭のほかはないが、すでに事定まった今日となっては、偏にお跡目を正し、御遺業をうけついで、御在世の日にまさる忠勤を励ましあうこそ、臣下の道でもあり、また一尊霊をなぐさめ奉ることとも存じて……かくは今日」
と劈頭に、議長格の柴田勝家から、主君を悼むの辞やら、爾後の報告などがあって後、
「さて、それについて」
と、予定の議題が、これも彼の発言の下に、提出されたものだった。
即ち、その一は。
(御遺族のうち、どなた様をもって、お世嗣とお定めするか)
の問題であり、二には。
(旧明智所領の配分如何)
であった。
まず第一の重大懸案について、勝家から列座一同へ、
「御意見もあらば」
と、訊ね。
「ほかならぬ儀。あとでとやかくのないよう、腹蔵なくお考えを述べられたい」
と再三にわたって、諸侯の発言を求めたが、誰も、顔見あわすのみで、押して私見を披瀝する者もない。
ないのは当然であった。
この場合、もし軽率に、自分の思うところを主張しても、万一結果において、その反対な立場の者が、織田の相続者として擁立されることにでもなれば、当然、その発言者の前途は危険なものにならざるを得ない。