Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
宗治は黙ってそれをうけた。左衛門の辞色には少しも騒がしいものは見えなかったが、たとえ説いても説き伏せ難い程のものがその姿を巌のように見せていた。声の裡にこもっていた。
ところへ、大手の矢倉の上に在る部将白井与三左衛門から、一武士を使いとして、主人宗治の許へ口上で、
(甚だ、憚り多いことですが、自分はなお、お矢倉の守りについておる身なので、たとえ和談の議があろうと、誓紙の調印あるまでは寸時もこの部署を離れることはできませぬ。御足労、痛み入りますが、今生一期のごあいさつを兼ね、ちと申しあげたい儀もございますので、お矢倉の上までお運び願いとう存ずる)
と、伝えてよこした。
何事か知れないが、白井与三左衛門は多年仕えてくれた家の子のうちでも年頭の方である。宗治はすぐ矢倉へ上って行った。与三左衛門はうれしげに、主人の姿を、そこの不断の戦いの場所に迎えた。
与三左衛門は負傷していた。
まだこの城が水攻めをうけない卯月二十七日の大寄せに、敵の鉄砲に中って、片脚にかなり痛そうな怪我をしていたが、この矢倉を預けられた以上、仆れてもここは降りない。眼のあいている限り死守してみせると頑張って、昼夜、物の具も解かず、きょうまでなお、満々たる城外の濁水を睨みまわして、弓を懸けつらね、銃口を並べ、手に陣刀の柄を放さずにいる老部将で