Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
この辺にも何の異状も認められない。
旅人が来た。
怪しいと見、すぐ物見の一兵が駈けて、つかまえて来た。物見頭が脅して訊ねた。旅人は、何でもしゃべった。脅したのが張り合い抜けするくらいである。
「羽柴様の御人数を途中で見たかと仰っしゃいますので。……へい、たしかにお見かけいたしました。今朝早く、不破の辺で。――それから、自分は遅れて、たった今、垂井を通って来ましたが、垂井の宿は、先に行った羽柴様の人馬でいッぱいでございました」
「人数は、どのくらい?」
「わかりませんが、何百という御同勢で」
「何百?」
物見は、顔を見合わせた。その男を突っ放して、すぐこれを後方の勝家に伝令した。
案外な――と思われた。敵は余りにも小兵力だからである。為に、なおさら危惧されたが、騎虎の勢いだ。押せと、行軍をつづけて行った。――時に、彼方から羽柴家の使番がただ一騎でこれへ来るという報らせがあった。
やがて近づくを見れば、その一騎は、甲冑の武者ではなかった。紗の摺箔の小袖、藤色の天正裃、手綱まで装いをこらし、目を奪うような姿の若者であった。
「御案内をいただきたい。それがしは羽柴秀勝様の近侍伊木半七郎です。