Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
喪を討たず
和議調印はここに成ったのである。だが、それから幾刻も経たないうちに、毛利方の陣営は旋風のごとき驚きと茫然たる自失に見舞われていた。――初めて信長の死をその日の夕方に知ったのであった。
喪を討たず
「出し抜かれた」
「秀吉めに、まんまと、乗せられたものだ」
「和睦の誓紙は破棄すべしだ」
この声は、そのせつなの、毛利の帷幕全体のものだったといってもさしつかえあるまい。
信長の死を、彼らが知ったのは、その日の七刻下がり(午後四時)の頃だったから、宗治の切腹直後、誓書の交換が行われてから、わずか一刻(二時間)ぐらいな後でしかない。
知らせて来たのは、当時上方方面に配してある諜報方の一名で、これが全軍に知れ渡ると、毛利方のうちでも今度の和議を心から迎えていなかった強硬組の面々は、
「それ見たことか」
と云い、
「秀吉を討て」
と、さけび、
「討つは今だ。絶好なときだ」
と、たったいま調印交換をすましたばかりの和睦などは、頭のうちから消し飛ばして、陣々の諸士も、囂々と私議紛説を放ちあい、天下一変の予想される昂奮の坩堝のなかに各※(二の字点、1-2-22)その感情を極端に揺すぶられていた。