Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
蝙蝠のお安さんとしようか……。左団次の桐一葉の舞台が瞼に浮かぶ。ああ東京はいろんな事があったと思う……。辛いことばかりのくせに、辛い事は倖せな事にはみんな他愛なく忘れてしまう。どんどろ大師の弓ともじって、弓子さんと云う名にする。弓は固くてせめてもの慰めだ。はっしとまとを射て下さい。
わけのわからぬ客を相手に、二円の収入あり。まず大慶至極。泥んこ道の夜店の古本屋で、チエホフとトルストイの回想を五十銭で買う。大正十三年三月十八日印刷。ああいつになったら、私もこんな本がつくれるかしら……。
≪誰でも物を書いた時は、始めと終りとを削らなければならないと思いますよ。そこで、我々小説家は、嘘を云い勝ちですからね。そして短かく書かなければいけません。出来るだけ短かく……≫
チエホフがこんな事を云っている。
十一時頃客が一寸途絶える。店の隅っこで本を読んでいると、勝美さんと云う大きい女が、「あんた近眼なのね」と云った。もう一人はお信さん。子供が二人もあって、通いなのだそうだ。勝美さんは色が黒いので、オキシフルを綿につけては顔を拭いている。私は白粉をつけない事にする。