Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
二天門の方へまわってみる。ごたごたと相変らずの人の波だ。裸の人形を売っている露店でしばらく人形を眺めてみる。やっぱりきりょうのいいのから売れてゆく。昼間のネオンサインがうららかな昼の光りに淡く光っている。鐘つき堂の所から公園のなかへぶらぶら歩く。
誰一人知った人もない散歩でございます。少々は酔い心地。まことに、なつかしい浅草の匂い。淡嶋さまの、小さい池の上の橋のところに出て少し休む。鳩が群れている。線香屋さんの線香の匂いがする。ああ何処を向いても他国のお方だ。埃っぽい風が吹いている。あらゆる音がジンタのように聞えて来る。
池の石の上に、甲羅の乾いた亀がもそもそと歩いている。いまにいいことがあるぞと云ってくれているのではないかと、にゅっと首をあげている亀の表情をじいっとあきずに眺めている。少しはねえ、いいことがあるように、私のことも考えて下さいなと亀に話しかけてみる。慾ばってはいかん。はい、承知いたしました。何が慾しい? はい、お金がどっさりほしいです。毎日心配なく御飯がたべられるほどお金がほしいです。男はいらぬか? はい、男はいりません。当分いりません。