Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
豊竹呂昇――ほんとにあの女こそ円転滑脱な、というより魅力をもった声の主だ。彼女の顔かたちが豊艶なように、その肉声も艶美だ。目をつぶって聴いていると、阪地の人特有な、艶冶な媚がふくまれている。彼女に凄さを求めるのは無理であろうが、紅筆をかんで、薄墨のにじみ書きに、思いあまる思案のそこをうちあけた文を繰広げてゆくような、纏綿たる情緒と、乱れそめた恋心と、人生の執着と、青春の悩みとが、聴くものを魅しつくしてしまう。綾之助は理解をもって心を語ろうとし、彼女は熱烈に悩ましい情のもつれを訴える。音量はもろともに豊富であるが、呂昇は弾語りであるだけに急き込むところがある。得手でないところは早間になるうれいがある。彼女の芸は鴈治郎の芸と一脈共通のところがあるかと思われる。鴈治郎が町人の若旦那伊左衛門、亀屋忠兵衛、紙屋治兵衛に扮してもっとも得意なように、呂昇は町人の若女房が殊更によい。ふっくりとしたなかに、ことに普通の女人であって、人間味のたっぷりと溢れでた女性は、呂昇の専有といってもよい。
東京で呂昇を待つ人は多く中流階級以上の人であるといっても差支えないであろう。