Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
ということを、まだ文芸協会の生徒の時分に聞いた。そのうち舞踊劇の試演があって、坪内先生のいらっしゃる楽屋にお邪魔していると、ドンドンドンという音がして近くで大きな声がした。何だろうと思っていると、
「正子さんの白のおさらいだ」
と説明するように傍の人が言ったが、四辺にかまわぬ大きな声は、悪口をいえば瘋癲病院へでもいったように吃驚させられた。今度の騒ぎで諸氏の感想を種々聴くことが出来たが、同期に女優になり、いまは「近代劇協会」を主宰している良人の上山草人氏と御夫婦しておなじ協会の生徒であった山川浦路氏の談話によると、生徒時代から須磨子は努力の化身のようで、手当り次第に台本を持ってきて大きな声で白をいったり朗読したりし、対手があろうがなかろうがとんちゃくなく、すこしの暇もなく踊ったりして、火鉢にあたっている男生の羽織の紐をひっぱっては舞台へ引出して対手をさせる。その人が労れてしまうとまた他の人を引っぱりだしてやらせる。皆が嫌がると終いには一人で、オフィリヤでもハムレットでも墓掘りでもやってしまう。自分の役でない白でも狂言全体のを覚えこむという狂的な熱心さであったということである。