Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
けれども附添っていたのは本邸から番人によこしてある書生だけで、看護婦たちと声をあわせて、よくなれば院長の方から退院を許すと、口止めをされた倉持の安否はすこしも彼女に知らせなかった。彼女がその場合欲したものは、厚き手当でも医薬でもなかった。たった一言、彼れの安否を聞きさえすれば心は落ちついたのである。それは倉持が約束を変えず、後を追う気で自殺したといえば悲しみもし、気も狂わしく、医薬を尽しても助からなかったかも知れない。けれど、その場合、回復させるばかりが仁であろうか、長い恥辱をあたえてまで助けておくのが情であろうか?
「自動車を持って来い、退院するのだから」
と彼女は叫び、
「まだ御全快になりませんから」
と宥めるのがいつもきまった文句であると新聞は伝えた。その悲しい叫びを駄々といった。狂わしいほどに気に懸るものの安否は知れず、やる瀬なき絶叫は神に救いを求める讃美歌となって高唱された。
おもひいづるも はづかしや
ちちのみもとを はなれきて
あとなきゆめの あとをおひ
むなしきさちを たのしみぬ
ならはぬわざの まきばもり
くさのいほりの おきふしに
ひとのなさけの うすごろも