Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
しかしやがて五万円は諸々の人の手によって手易く失われてしまった。
「お妾のする仕方じゃない」
それらを考えるときに、その言葉が生てくる。
そのころのお鯉の生活の逼迫が、お〆さんの口から、ちらりと洩らされたことがある。
「金にあかしてこしらえたものも、こうやって二束三文に手離しておしまいなさるんですよ。お気の毒さまですね、お邸こそ以前のままですけれど、おはなしになりませんやね。いまじゃ米屋が強面で催促していることもありますものね」
お〆さんにも多少の感慨はあるか、金の義歯のチラリと光る歯で、四分一の細い吸口をくわえたまま、眉間にたて皺を二本よせて、伏目になっていた。
「お髪のものもなにも、あれじゃもう入りません。けれどおかわいそうです。あの気性じゃたいへんです」
その折り、麻布の家に一人の青年がいて、その人が一人お鯉のことに誠実を尽してやっているといった。またしばらくたってから来ると、こんどはその青年が、下にもおかずもてなされているらしいことを語った。
「食事でもなんでもお上通りで、お鯉さんとひとつに食るのですよ。あの方が身を立てあげればだが、お鯉さんもそれまでにはまた一苦労ですね」