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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

「お腹に病気がありますの。」

わたしは誠に手軽く答えた。

「なにしろ、お医者に言われると、ちゃんと、もう十年にもなりますでしょう、家にいれば、お午飯は、ビフテキ一皿と、葡萄が六顆ばかり。お母さんが、ちゃんと拵らえて、食べる娘は机の上の時計を見ていて――」

「なんじゃ、あんた、知っとるのか? その女子。」

素麺を滝のように口にしたまま、眼を剥いたのが、黒い顔に、いかにもびっくらしたというふうだった。

「ええ。」

お腹から押し出てくる笑まいを、わたしは呆れている、素麺の上にあるその顔にむけた。

「横浜といえば――そうでなくったって、あんな人は、まあないでしょう、浜子でなければ――」

「そうじゃとも。」

鼓村師は、一飲込みしてから大きく頷いて、

「あんた友達か?」

今度はわたしが説明する番に廻って、ええと言った。

「横浜の家へ着くと、お母さんという人が、御馳走をしたのなんのと、わしでも、どうにもならんかった。可愛いんじゃね、一人娘のようじゃったが。」

「おばさんは、浜子さんのお友達なら、どんな奉仕もするのです。彼処のうちの台所は、とても立派な、調理用ストーブが並んでいるし、井戸は坐っていて酌めるように、台所の中央にあるし、料理は赤堀先生の高弟で、洋食は、グランド・ホテルのクック長が来ていたから、おばさんの腕前は一流です。