Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
岡田八千代さんも箏の方を助けてくれた。
とにかく、私の友達は、この仕事にみんな手つだってくれた。踊りの方は市川猿之助が主役、女の方の主役は、堀越実子――市川翠扇という女優の名で出演し、七人の舞女は、そのころの新橋七人組といわれた、小夜子、老松、秀千代、太郎、音丸、栄竜、たちだ。この組はこの組で、浅草千束町の市川段四郎氏自宅の舞台と、歌舞伎座案内所の表二階とで稽古していた。
楽座の方は、曲の打合せが重なるほど、面白い出来ごとがあった。とうとう、ある日、箏と三味線の正面衝突となって、和三郎がカンカンに怒り出す。鼓村さんは、幾杯もコップの水を呑んだが、それでも熱して、そら豆のゆでたのを盛った大どんぶりのからになったのに、これに水をくれといって、水が運ばれた来たのも知らずに弾いていたが、
――そんなこというて、わしゃあ――
と、言うが早いか、どんぶりの水を口にもってゆかずに、一、二分苅りの赤い熱頭の上へ、こごんだまま、ザブッとぶっかけてしまった。
箏の上である。夕立ちのように水は落ちた。それも知らないで彼は熱中している。和三郎は小腕をまくって、ブルブル慄えながら、冷静をとりもどそうとして、煙管に火を点けたが、のぼせているので火皿の方を口へもっていった。