Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
まさに、この時分の彼女の爪音には、彼女の細い腕から出るものではない大きな、ふくみのある、深い、幅の広い音が出ていた。
「浜子は巧い。」
「浜子さんの箏は好いなあ。」
何処でも好い評判だ。
菊五郎の、芝公園の家では、なんでも、しんみりと、浜子と宮城氏との合せものを聴きたいというので、ある夜、その会合があった。実際、あんな好い気持のものを聴く機会はそうあるものではない。と、今でも思出すほど、宮城氏の三絃と浜子の箏とが、流れる水のように、合し、むせび、本流となり、あるいは澱む深味へ風が過ぎてゆくようになったりする音色は、曲が止んでも、弾いたものも聴くものも、消えてゆく、去りゆく音を追って、すぐ、果敢なくも思出となってしまう脆さを、惜しむ思いにホロホロとする気持に浸っていた。
朱絃舎――そんな名を選んだのも、その時分のことだった。「朱絃」という名の定まるまでには、どんなにさまざまの名がえらまれたか知れない。私の大形ブックの幾頁かも、古い詩句の中から、およそ、これはと眼にとまり、心にとまるものを抜きだして、書いておいたか知れないのだった。
前にも書いたかも知れないが、彼女が、何処か『源氏物語』