Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
どんな人が見てくださってるかわかりゃしない。」
「じゃあ、まあ、とにかく、大阪の方の話は、出来そうな工合に、返事をしといてもいいね。」
――これは、もちっと後のことで、九女八はこの大阪から帰ってから後、大正二年の七月に、浅草公園の活動劇場みくに座で、一日三回興業に、山姥や保名を踊り、楽屋で衣裳を脱ごうとしかけて卒倒し、そのままになってしまったのだった。大阪で溜て来た金は、九女八が、何か計画して考えていたことには用いられず、終焉の用意となってしまったのだが、台助は、そんな予感がしたのかどうか、ふいと、仕かけていたその談話を打ち切って、
「俺は、ちょいとその事で、出かけてくる。」
と着更をしかけたところへ、静枝が名刺を読みながら来て、
「お師匠さんの芸談を聴きに来た、演芸の方の記者らしいのですよ。談話といてくだすった方が好いと思いますから、お逢いになってくださいな。」
と、婉曲に、この名人の真相を残させたい、弟子の心やりですすめた。
「じゃあ、茶室へでもお通ししといておくんなさい。」
と九女八が言っているうちに、台助は玄関で、来訪者と摺れちがいに、傘をさして、門の外へ出ていった。