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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

珍本を見つけましたからって、おいていった和本のなかへ、艶書を入れて来たりして、それからは、一日に二度も来るようになったのだと、困ったというふうに話した。

孝子は、錦子が、随分変ったなあと、しげしげと見詰めていた。自分でも手紙に、我儘になったと書いてはよこしたが、東京へ出してもらいたいために、親たちに厭がられるようにしたのではないかとさえ思った。小説が書けないということと、恋心というものが、そんなに悪どい苦しみだとは、孝子には察しもつかなかったが、桜津が自分への思慕だと、思いちがいをした、長恨歌の、夕殿蛍飛思悄然という句を選みだしたということには、そんなものかなあという、仄な、ほんのりとした、くゆりを、思いしみないでもなかった。

「だけど、あなた、山田さんと結婚する?」

「そんなこと、考えてもいないわ。」

そうはいっても、錦子は悩ましげだった。

「小説書いて、独立出来る?」

「だから、あたし、医学終業という題のは、そう思って出京した娘が、女義太夫になってしまうことに書いて見たの。」

ふと、二人の眼のなかには、桜の花と呼ばれた娘義太夫の竹本綾之助や、藤の花の越子や、桃の花の小土佐が乗っている人力車の、車輪や泥除けに取りついたり、後押をしたりして、懸持ちの席亭から席亭へと、御神輿のように、人力車を担いでゆくようにする