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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

気に入りましたか?」

お雪は、それに返事する間もなかった。急いでモルガンの肘を叩いて、水に飛び込む男女を、指さした。

「人魚、人魚。」

若い女の、水着の派手な色と、手足や顔の白さが、波紋を織る碧い水の綾のなかに、奇しいまでの美しさを見せた。

「西洋の人って、ほんとに綺麗ね。」

溜息といっしょに、お雪が呟くようにいうと、

「そのかわりあなたのように、心が優しくない。」

と、モルガンは妻の手をとった。

帽子をとったお雪の額をグッと髪の上までモルガンは撫で上げたとたんに、彼は叫んだ。

「おお、マリア観音!」

好奇にみちた彼の眼は素晴らしい発見に爛々と燃えて、

「うつくしい、うつくしい。大変に美しい。」

とお雪の頭を両手でおさえたまま、いつまでもいつまでも見入るのだった。

白皙の西洋婦人にもおとらないほど、京都生れのお雪の肌は白かった。けれど、お雪の白さは沈んだ、どことなく血の気の薄い、冷たさがあって、陶磁器のなめらかさを思わせる、寒い白さだった。それが、明澄な碧緑の空気の中におくと、広い額の下に、ふっくらした眼瞼に守られた、きれ長な、細い、長い眼が――慈眼そのもののような眼もとが、モルガンが日本で見た、白磁の観世音のそれのようだった。