Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
「ごく若い時には日本髷がすきでね。それも、銀杏がえしに切をかけたり、花櫛がすきで、その姿で婦人記者だというのだから、訪問されてびっくりする。」
「『二十世紀婦人』の記者でしたろう、その時分は。」
「たしか、東洋学生会の仲間で、印度人に、英語を教えていたでしょう。」
人々の眼には、ずっと若い時分の、遠藤清子さんが話されていた。わたしの眼には、それよりずっと後の、大正六、七年ごろ、もう最後に近いおりの、がくりと頬のおちた、鶴見のわたしの家で会食したおりの、つかれはてた顔ばかりが浮んでいる。
荒木郁子さんが、清子さん母子の墓のことを気にかけていたのは、清子さんの死後託された男の子を、震災のおり見失なって以来、十年にもなるがわからないから、その子も一緒に入れて建てたいという発願だった。
郁子さんは、玉茗館という旅館の娘だったので、清子さんの遺児はその遺志によって、『青鞜』同人たちから、郁子さんに依託することになった。そして、あの大正十二年の大震火災のおり、広い二階座敷にいたその子は、表階段の方へ逃げた。郁子さんは、裏階段へ逃れた。表階段の方へ駈けていった後姿は見たが、それっきりで、どんなに探しても現われてこないのだった。