Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
鏡にむかって、鬢を掛きながら、思いだしていたのは、いつぞや、此処へ来て間もなく、やっぱりお湯から帰ってくると、主客の問答を、襖越しにきいた。
「まだか?」
「まだだ。」
その時の客は、正宗白鳥氏だったのだ。泡鳴氏の友達の方には、もっと手厳しいのがあって、ハガキで、そんなことをしていて、清子に男が出来たらどうするとか、彼女は生理的不具者なので、よんどころなくそうしているのだろうなぞといってきているのもあるのだった。
清子には、そんなことはなんでもない非難だと思えた。それよりも辛抱のならない女客があることが厭だった。それは、泡鳴氏の先妻幸子だ。三年前から別居しているという彼女は、冷やかな調子で、
「私は、貰うものさえ貰えば好いんですからね。どうせ、この夫とは気が合わないんだから、この夫はこの夫で、勝手なことをなさるがいいんです。あなたとは、気があっているそうだから結構でさあね。」
永遠性を誓えない邪恋を押退け純一無二のものでなければならないと、賤しむべき肉の恋をこばんで、苦しむ身に投げつける言葉のそれは、まだ忍耐するとしても、名ばかりの夫妻とはいえ、夫が厳冬の夜も二時三時まで書いていることを、この女は知らないのだろうか、文学家の朝夕は、思ったより悲惨なものであるのに、その金を催促に来て、いう言葉がそれなのだ。