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Japanische Klassiker mit Furigana

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たびへでて

旅へ出て

宮本 百合子

Lesen Sie 旅へ出て (たびへでて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.067 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

旅へ出て

四月の三日から七日まで私は東北の春のおそい――四方山で囲まれた小村の祖母の家へ亡祖父の祭典のために行った。

見たままを――思ったままを順序もなく書き集めた。

四日の旅をわすれたくないので――。

利根川の青き水の面に白き帆の

水鳥の如舞ひつゝも行く

荒れし地を耕す鍬の手を止めて

汽車の煙りを見守れる男

田舎道乗合馬車の砂煙り

たちつゝ行けば黄の霞み立つ

赤土に切りたほされし杉の木の

静かにふして淡く打ち笑む

白々と小石のみなる河床に

菜の花咲きて春の日の舞ふ

水車桜の小枝たわめつゝ

ゆるくまはれり小春日の村

白壁の山家に桃の影浮きて

胡蝶は舞はでそよ風の吹く

なつかしき祖母の住居にありながら

まだ旅心失せぬ悲しさ

なめげなる北風に裾吹かせつゝ

野路をあゆめば都恋しや

らちもなく風情もなくてはゞびろに

横たはれるも村道なれば

三春富士紅色に暮れ行けば

裾の村々紫に浮く

昼も夜も風の音のみ我心を

おとなひてあれば只うるみ勝

帰りたや都の家の恋しやと

たゞひたぶるに思ひ居るかな

春おそきわびしき村に来て見れば

桜と小麦の世にもあるかな