Japanische Klassiker mit Furigana
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たびへでて
旅へ出て
宮本 百合子
Lesen Sie 旅へ出て (たびへでて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.067 Zeichen · 13 Bildschirme
歌唄ひ物を書けども我心
一つにならぬかるきかなしみ
訪ふ人もあらぬ小塚の若きつた
小雨にぬれて青く打ち笑む
行きずりの馬のいばりに汚されし
無縁仏の小さくもあるかな
那須の野の春まだ浅き木の元を
野飼ひの駒はしづ/\と行く
浦若き黒の毛なみをうるほして
春の小雨は駒の背に降る
あけの日も又あけの日も北風に
吹きこめられて都のみ恋ふ
吹雪の中を――
東京では桜が満開だと云うのに私は此処に来るとすぐから吹雪に会わなければならなかった。
はてしなくつづく広い畑地の間のただ一本の里道を吹雪に思いのままに苦しめられながら私は車にゆられて行った。
私の行く道は大変に長く少しの曲りもなしにつづいて居る。
小村をかこんで立った山々の上から吹き下す風にかたい粉雪は渦を巻きながら横に降って私の行く手も又すぎて来た所も灰色にかすんで居るばかりだ。
私の車を引く男はもう六十を越して居る。細い手で「かじ」をしっかり握ってのろのろと歩くか歩かないかの様に進んで行った。
そして時々ブツブツと何だかわけのわからない事をつぶやいた。
不安と寒さに会ったいじけとで私はたよりない気持になった。