Japanische Klassiker mit Furigana
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たびへでて
旅へ出て
宮本 百合子
Lesen Sie 旅へ出て (たびへでて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.067 Zeichen · 13 Bildschirme
私の記憶には只幼ない可愛い牛乳屋の小僧として長く残って居る事だろう。
乳しぼりの男
高原的な眼の輝きとかなり長い髪と白い手を持って居る男だ。
白い牝牛のわきに腰を下ろして乳をしぼって居る。
ふせたまつ毛は珍らしく長くソーッと富かな乳房を揉んで前にある馬けつにそれをためた。
随分長い間たってもその男は仲間の誰とも口をきかなかった。
乳をしぼりあげると男は立ちあがって牛の顔をしずかに撫でて母親の様な口調で、
音なしく、してろよ。
と云って暗い納屋に入ってしまった。
ただそれっきりだけれ共、濁声を張りあげて欠伸の出た事まで大仰に話す東北の此の小村に住む男達の中で私に一番強い印象をあたえたたった一人の男だった。
口取りと酢のもの
今日始めて私はいかにもこの上ないほど不味不味しいそして妙な膳のこしらえ方を見た。
光線のろくに入らない台所でゴトゴトと料理して居た料理人は朱塗の膳に口取りと酢のものと汁をのせて客室に運んだ。
酢のものは?
あとで口取とのせかえるで――
こんな事を平気で云った。
酒の膳に口取をつける事から妙なのに私はそれを食べた時の味も考えた。