Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
僕も一つその手をやるかな。」
「右と左だけじゃない。上も下も真ん中もだ。」
東野は一層久慈の頭を拡大させ、混乱させる原野の中へ引き摺り出し、さアいよいよ用意をしろというように落ちつき払って笑った。久慈は頭の中に暈いを感じ、一寸立ち停った姿で鰈と饂飩の二つの形に思考力を集中した。
「しかしですね。ここに鰈と饂飩の栄養分の統計表がはっきりと出ている場合に、その表を作った頭以上の精確さはないわけでしょう。その精確さを信用せずして知識はない。科学主義というのは、その精確さを信頼する人間の頭脳の聡明さを云うのでしょう。あなたはそれをも簡便主義だと云われるんですか。」
東野は何か云いかけたが、広いホールにだんだんと詰って来た外人たちを見廻してから、突然、
「君、モンマルトルへ行った?」と訊ねた。
一泡吹くべき急所へ来て他人事云うとは卑怯だ、と久慈は一瞬顔に血の気が昇るのを感じた。
「君、夜の十二時過ぎのモンマルトルへ来て見給え。いつでも軽機関銃でアパッシュ連中が撃ち合いをしとる。いっぺん僕んとこへも遊びにいらっしゃい。なかなか凄いよ君。ところが、あの連中の云うことが面白い。