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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

夜になると、明日の朝まで大行進をつづけるのだという細民の太鼓の音が、街街から聞えて来た。この左翼の勢揃いの固まるにつれ、右翼の陣形もますます練り固まって来たという噂が久慈たちの耳にももれ伝った。バスティユの牢獄を打ち破ったフランス革命のときのように、明日も第一番にバスティユの門が砕かれるであろうという話も、一般の予想の一つだった。

銃剣をつけた警官隊が街街の辻に群がり立って暴徒の警戒にあたった。自動車がどこかへ徴発されたと見えて数少くなっている街の中を、この夜久慈は矢代と一緒に歩き廻ってみた。街の通りを行列をつくって進む群衆を見るときどき、彼は祭の夜の電気自動車を運転した檻の中を見る思いで、明日はいよいよ火華が飛び散るであろうと更けゆく夜を待つのだった。二人はサンミシェルを振り出しに河を越え、グランブルヴァールからサンマルタンの方へと坂を登っていったとき、久慈は突然矢代に訊ねた。

「それはそうと、千鶴子さんいつ帰ることになったのかね。」

「十五日の朝だ。」

「じゃ、明後日だな。汽車か飛行機か。」

「飛行機にした。もう切符も手に入れたんだ。」

二人の黙ってしまった遠くから絶えずバスティユの方へ行進してゆく群衆の響きが、ちょうど法華宗の進行のような太鼓のリズムの連音をなみなみとつづかせて聞えて来ていた。