Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「明日がすんだらもう僕もベルリンの方へ行くつもりだよ。」と矢代は云った。

サンマルタンからクニヤンの方へ廻って行くに随い、薄霧の中に赤旗を靡びかせた行列がだんだん増して夜の深むにつれ熱気が街に溢れて来るのだった。

人の心がパリ祭だといって騒ぐのに、その日の朝は、矢代は眼がさめても一向に浮き立つ気持ちも起らなかった。彼はゆっくり起きてから千鶴子に電話をかけ、明朝のあなたの帰る支度は今夜自分がするからそのままにしとかれるようにと云って、すぐ食事場のドームで待っていることを告げると、身支度にかかった。

ネクタイもある店で久慈と取り合いでとうとう買い占めた柄のを締めた。そして矢代はホテルを出たが、出るとき鍵さしに差さった日本からの手紙を見た。それは長らく海岸で寝ている妹からのものだった。手紙にはいろいろのことが病人らしく書いてある中に、次ぎのようなことがあった。

――いつかお報せしたかと思いますが、お父さまも気がこのごろお弱くなりましたのか、お金貸しもあまりひどいことをなさらなくなりました。お伊勢参りをお母さんとなさったとき、偶然に郷里の消防団と一緒になって驚かれたことがありましたが、それ以来急にお年をとられたように思います。