Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
、神秘な光りのように見えるのだった。そこへ箱の中から出て来た塩野の、パリで作ったらしい身についたダブルの洋服が、周囲の風物とかけ離れひどく頓狂に見えるにこにこした姿で矢代の方へ歩いて来た。
「千鶴子さん、来るそうですよ。どうもしかし、初めは妙なことを云いましてね。あたしが行っちゃ矢代さんに御迷惑じゃないかしらって、そんなことを云うんですよ。あれも一寸どうかしてるなア。」
と塩野は云いながら、ズボンのポケットから煙草を探した。しかし、いよいよ千鶴子が来ると分ると、矢代は急に元気が出て思わず饒舌になりかけた。
「それや、君、帰ったばかりだから、どうかしてるのは誰でもですよ。そのうち君だって、どうかなりますからな、用心しないと入院しますよ。」
「ふむ、入院するかな。」
と塩野は一寸考える風に眼鏡をせり上げた。
「とにかく、入院するしないは別として、必ず妙なものがやって来る。訳の分らぬものが、無茶苦茶に自分を押し倒して、馬乗りになって来る。」
「ふむ、来ますか。」
塩野は小首をかしげたかと思うと、「はっ」とかすかに声を立てて笑った。二人はバスの停留所の手前まで来てから立ち停った。