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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

それにしても、この塩野や由吉らの、日本人放れのした交友たちの間に浸って来た千鶴子が、矢代に近づいていた不似合なパリでの一時期の交遊期を、今さら彼は訝しく奇特なことだと思わざるを得なかった。しかし、もう今は、どこが違っているのか分らぬながら、どことなく総てが前とは違っていた。

「いつお帰りになりました。」

ほとんど先から千鶴子と視線の合うのを恐れていたのも、矢代は、このことだけ千鶴子に訊きにくい事だったからであるが、それもいくらか酒にほぐされ、初めて千鶴子の顔を見て訊ねた。

「八月の二十一日に着きましたの。」

千鶴子は答えただけでまたすぐ食卓の上へ眼を伏せた。頭から飛び散ってゆく何ものかを必死に防ごうと努めている、びくびくした彼女の表情を矢代は見てとり、

「じゃ、僕の想像はあたったな。僕は九月二日ですから、あなたと十日違いですよ。東北の田舎へそれから一寸引っ籠っていました。いかがです。一つ。」

矢代に銚子を向けられた千鶴子は、軽く猪口の端を唇につけただけですぐ下に置くと、今度は急に正面からじっと眼叩きもせず矢代を見詰めて黙っていた。

「この人だったのかしら、あの人は?」