Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
こう思うと矢代は白白しくなるよりも、むしろ、二人をそんなにしてしまった何か云い知れぬその判決に対して、憤りを感じ、挑戦したくもなるのだった。
そこへ客部屋を挨拶に廻っていたこの家の主人の沢が入って来た。丸刈り頭で眼をしぼしぼさせ、とぼけ癖の表情のまま矢代の傍へ来て坐った。
「どうです、このごろは。あッ、そうだ、今日はウイスキイのいいのがあるんですよ。およろしかったら持って来させますが。」
沢は笑いもせずぽつりとそう云って、勝手に女中にウイスキイを命じた。矢代は由吉や塩野たちを沢に紹介するとき、この人らは君の自慢のウイスキイの本場から帰って来たばかりだと説明した。
「ヘエ、それは困りましたな。しかし、お金はいただきませんから、いくらでも召し上って貰いましょう。」
「そういう人は、ロンドンにもいなかった。」
由吉の気転で一座は急に賑やかになると、沢は、「これは呑まれますかな。」と云って頭を掻いた。由吉は女中が持って入って来た黒い角壜の液体をひと目見た瞬間、
「いや、これは素晴らしいぞ。」と居ずまいを正しほくほくした。アルコールは廻らぬように見えながらも由吉にはかなり廻っているらしく、くだけた磊落な風格がますます出て、女中の手から鷲掴みに角壜を受けとりすぐ自分のコップに注いでみた。