Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「しかし、僕は失望はしていないのですよ。一度こういうことがあったので、――一寸お聞きなさいよ。あなたにだってこれは重要なことだから。」
「何んだかあたし、悲しいわ。あなたのお母さんに叱られた夢を見たこと思い出すの。――」
千鶴子は手巾を出し眼をそっと拭いた。
「しかし、そんなことなど、一度や二度は必ずあると思うべきでしょう。あなたがカソリックで母が法華なら、反りを合そうたって、合すことの出来た人がありましたかね。だから、やってみるのも面白いでしょう。」
「やれないわ、あたしに――」千鶴子は手巾の中で呟いた。
「勇気がないんだなア、カソリックのくせに、僕のことを考えてみてくれたまえ。僕はカソリックと法華に挟まれて、君どころの騒ぎじゃないんだから。」
二人はまた黙り込むと下を見た。下の路で橇の柄を握り力んでいた子供は、執拗くそれを動かすことをやめようとしなかった。餡パンを啣え口を空に向け、ふんぞり返った顔を充血させていたが、橇は微動もしなかった。すると、子供は手を放して後ろへ廻り今度は後から橇をうんうん云って押してみた。明らかに荷の勝ちすぎているのが、上から見るとすぐ分ることだったが、下からでは動きそうに見えるのかもしれぬと矢代は思い、自然に自分の今のことも思い合せてなお下を見つづけるのだった。