Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
アンリエットが矢代のところへ来たのは約束の六時であった。彼女は部屋へ這入って来るとすぐ握手をして、
「今日はブールジェへいらしったの。」とフランス語で訊ねた。
「行きました。」
と矢代が日本語で答えると、いや今日からは日本語じゃいけない、この時間は勉強ですものとアンリエットは云って、矢代のフランス語の答えを待った。冗談のつもりで語学教師として彼女を廻して貰いたいとうっかり久慈に頼んだのに、それに早くも手元へ辷り込んで来たアンリエットであった。
「ブールジェへ行きましたよ。千鶴子さんは久慈とルクサンブールを歩いています。」
と矢代は幾らかからかい気味になり、ぼつぼつした下手いフランス語で答えた。
「そう。あなたはわたしを待って下すったのね。有り難う。」
アンリエットは見たところ目立った美人とは云えなかったが、ふとかすめ去る瞬間の笑顔に忘れ難ない美しさが揃った歯を中心にして現れた。
「久慈君はあなたに逢えば、日本のことを話せと云うんですが、日本のことをあなたはそんなに知りたいですか。」
「ええ、それや知りたいわ。あたし、日本の男の方それや好きなの。あたし、住むならパリか東京よ。